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動画マーケティングとは?その意味と実施方法

最終更新日:2024年2月8日 執筆:SEOコンサルタント 鈴木将司

ソーシャルメディアの中でも最も華やかで進歩が激しい分野がTikTokやYouTube等を活用する「動画マーケティング」です。

しかし、制作費が高額であることや、人気動画を作る難しさがあるため多くの企業がこの分野への参入をためらっています。
こうした既成概念を捨てて、知恵を絞れば、制作費を下げることは可能です。また人気のある動画を作るためのコツをつかめば、より大きな飛躍のチャンスをつかめます。

目次

1. 動画マーケティングとは?

動画マーケティングとは、動画コンテンツを利用して商品・サービスの売上を増やすマーケティング手法のことです。

インターネットの普及とスマートフォンの進化に伴い、動画コンテンツが人々の情報収集やエンターテインメントの主要な手段となっています。そのため、企業は動画を活用してターゲットとなる顧客にリーチし、関心を引きつけ、購買意欲を喚起することが可能になりました。

動画マーケティングは、視覚的な魅力を活用して情報伝達が可能であり、顧客の注意を引き付けやすいため、多くの企業が取り入れている効果的なマーケティング手法です。また、動画はSNSでのシェアが容易であり、ウェブサイトやブログに埋め込むことができるため、拡散力が高いのも特徴です。

《TikTok、YouTube、Facebook、Instagramアプリ内のシェア機能》

《ウェブサイトに埋め込まれたYouTube動画の例》

2. 動画マーケティングの戦略

動画マーケティングを実施するには次のような要素があります。

① 明確な目的を設定する

動画マーケティングにおける目的を明確に設定し、達成すべきKPI(重要業績評価指標)を決めることが大切です。

動画のKPIとしては、動画の再生回数、再生時間、視聴完了率、コンテンツ内のリンクのクリック率、コンバージョン数、コンバージョン率、シェア数、コメント数、いいね数などがあります。また、アカウント自体のKPIとしてはチャンネル登録者数、アカウント登録者数などがあります。

② 適切な配信プラットフォームを選択する

動画を効果的に配信するためには、YouTube、Facebook、Instagram、TikTokなどのソーシャルメディアや、企業のウェブサイトやブログなど、ターゲットユーザーが動画にアクセスしやすいプラットフォームを選ぶことが大切です。

③ ターゲットユーザーを理解する

視聴回数の多い動画を作るには、ターゲットユーザーのニーズや関心事を把握し、それに応じたコンテンツを制作することが重要です。
ターゲットユーザーは、ウェブマスター検定3級で解説したペルソナを設定するとより明確になり、チーム内で共通の認識を持つことが可能になります。

《B2Cサイトのペルソナの例》

④ ユーザーニーズを満たすコンテンツを作成する

自社が作れる動画、作りやすい動画を作ろうとするのではなく、ターゲットユーザーが見たい動画は何かを予想して、そのニーズを満たす動画コンテンツを企画、制作することが重要です。動画コンテンツには、企業紹介、商品・サービスの紹介、無料お役立ちコンテンツなど様々な形式があります。

ユーザーのニーズを知るには各動画プラットフォーム内にある検索エンジンでの人気キーワードを調べることと、競合企業が公開している動画のテーマや内容を調査することが効果的です。

(1)検索キーワードの調査

YouTube等のプラットフォーム内で、ユーザーが検索するキーワードを調べるツールがあります。こうしたツールを使うとユーザーがどのようなコンテンツを探しているかを知ることができます。

《YouTube(左)とTikTok(右)の検索機能》

《Keyword Tool内にあるYouTube検索のキーワード調査機能》

(2)競合動画の調査

競合調査をして、競合アカウントでチャンネル(アカウント)登録者数や、動画の再生回数が多いアカウントがどんな内容の投稿をしているのかを観察して参考にしましょう。登録者数が少なくても、コメント投稿欄にコメントが多いものはユーザーから支持されている動画であることが多いのでコメントの数や内容、返信の内容も参考になります。

競合調査をする際には次のようなポイントがあります。

● 競合企業を特定する
自社と同業種で競合関係にある企業を特定します。直接競合企業だけでなく、類似商品やサービスを提供する企業も調査対象に含めましょう。

● コンテンツの分析
競合企業の動画コンテンツを詳細に分析し、トピック、形式、スタイル、ターゲットユーザーなどを把握します。どのようなコンテンツが高いエンゲージメントを得ているのか、説明の仕方、わかりやすさ、構図、デザインなどを参考にしましょう。
※ エンゲージメント = ウェブサイトやコンテンツに対する愛着度のこと

● サムネイル画像の内容
YouTubeにはサムネイル画像を設定します。「サムネイル画像」とは、YouTube内の検索結果やおすすめ動画の一覧などに表示されるクリック可能な小さな画像のことです。 動画コンテンツの内容をひと目で伝える「看板」として重要な役割を果たすので作成には一定の労力と時間をかける必要があります。

《YouTube管理画面内のサムネイル設定欄(上)とサムネイルが反映された画面》

● 投稿頻度とタイミング
動画投稿頻度やタイミングを調査し、自社の投稿計画に反映させることで、効果的な露出が期待できます。

《毎日投稿されている例》

⑤ 視聴者の共感を生むコンテンツを作る

視聴者に共感や興味を持ってもらえるストーリーを盛り込んだ動画を作成することで、再生回数、いいねの数、コメント投稿の数、チャンネル登録などのエンゲージメントが高まります。

共感を生むコンテンツを作るには、視聴者の関心事や抱えている課題を想定した上で、リアルなエピソードや失敗談、裏話などを含めた人間味のある物語の動画を作るなどの工夫があります。

⑥ シンプルでわかりやすいメッセージを伝える

情報過多の時代にあるため、シンプルでわかりやすいメッセージを伝えることが重要です。1つの動画にたくさんのメッセージを詰め込むのではなく、極力1つの動画では1つのメッセージを伝えることに注力して、視聴者が確実にメッセージを受け取ってくれることを目指しましょう。

どうしても複数のメッセージを伝えたい場合は、動画をシリーズ化するなどして複数の動画にわけてメッセージを届けましょう。

⑦ 品質が高い動画を制作する

毎日非常に多くの動画がウェブ上に投稿されています。そうした中、視聴者が見たいテーマの動画を作るだけではなく、その動画の品質が高ければ、視聴者の注目を引き、ブランドのイメージを向上させることができます。

品質の高い動画を投稿するには、プロフェッショナルなビデオ制作会社への外注や自社での動画制作スキルの向上により、品質の高い動画を作成することが重要です。

⑧ 継続的な投稿をする

動画マーケティングは一度きりのものではなく、継続的に投稿することで顧客との関係を築き、ブランドの認知度を高めることができます。

特にYouTubeでは最低でも50本から100本の動画を自社のチャンネルに投稿しないと動画を投稿してもYouTube内での露出がほとんどされません。YouTubeをスタートする際は50本から100本の動画を先ずストックとして投稿することを目指しましょう。

《筆者が運営するチャンネルの視聴回数の推移を示すYouTube Studio(管理者専用画面)のデータ》

⑨ 動画SEOを実施する

YouTubeにおいては、動画のタイトルや説明文、タグにキーワードを含めることで、動画共有のソーシャルメディア内の検索エンジンでの表示順位を向上させ、より多くの人々に見てもらえるようになります。

⑩ ユーザーフィードバックによるコンテンツの改善

コメント投稿を許可することにより、ユーザーからダイレクトに動画コンテンツに対する感想が届くようになります。

コメントは好意的なものばかりでなく、辛辣な批判も含まれますが、そうしたコメントに反論をしたり、無視をするのではなく、丁寧なお礼の返事をすることと、改善のための貴重な意見だと認識してより良いコンテンツを作るための糧にするという姿勢が必要です。

⑪ データ分析によるコンテンツの改善

動画マーケティングの成果を測定するためには、視聴回数、再生時間、エンゲージメント(いいねやコメントなど)などのデータを分析し、最適化のための改善点を見つけ出すことが必要です。

⑫ 広告の活用

動画広告を活用して、ターゲットユーザーに直ちに動画を見てもらうことも可能です。例えば、YouTubeの動画を視聴している時に表示されるインストリーム広告やFacebookのインストリーム広告など、様々な広告商品が販売されています。

⑬ コラボレーション

また、自社の動画マーケティングを飛躍的に成功させるためにコラボレーション(コラボ)という戦略を取ることも有効です。

動画マーケティングにおけるコラボレーションは、企業やブランドがインフルエンサーや有力なパートナーと協力して、共同でプロモーション活動を行うことです。コラボレーションを通じて、ターゲットユーザーに対して新しい角度からアプローチし、より大きな影響力や露出を得ることができます。動画マーケティングにおけるコラボレーションの主な形態には次のものがあります。

(1)インフルエンサーとのコラボレーション

インフルエンサーは、SNSや動画プラットフォームで大勢のフォロワーを持ち、その意見や活動に影響力を持つ人物です。インフルエンサーと協力することで、彼らのフォロワー層をターゲットに商品やサービスを宣伝できます。インフルエンサーは信頼性が高く、彼らが推奨する製品やサービスに対して、フォロワーが購買意欲を抱く可能性が高まります。

(2)有力なパートナーとのコラボレーション

有力なパートナーとは、業界内で評価が高く、相互に利益をもたらすことができる企業やブランドを指します。有力なパートナーと協業することで、互いのブランド力や経営資源を活用し、ターゲットユーザーを広げることができます。また、異なる業界やジャンルのパートナーとコラボレーションすることで、新たな価値を生み出す可能性があります。

動画マーケティングにおけるコラボレーションの成功には、次のポイントが重要です。

コラボレーション成功のための重要ポイント

(1)目標の共有

コラボレーションの目的や期待する成果を明確にし、すべての関係者が目標を共有することが重要です。互いの期待や役割を明確にすることで、スムーズな協力が可能になります。

(2)相互利益の追求

コラボレーションでは、すべての関係者が相互に利益を享受できる状況を作ることが大切です。それにより、長期的な関係を築き、継続的な協力が可能になります。

(3)コラボレーション相手のターゲットユーザーの理解

コラボレーション相手のターゲットユーザーを理解し、それに応じたコンテンツを作成することが重要です。これにより、より効果的なプロモーションが実現されます。

(4)コミュニケーションの重視

コラボレーションにおいては、定期的なコミュニケーションを通じて進捗状況や課題を共有し、問題を迅速に解決することが重要です。

動画マーケティングにおけるコラボレーションは、自社のリソースだけでなく、他者の影響力や顧客基盤を活用することで、より広範囲なターゲットユーザーにリーチし、効果的なプロモーションを実現できます。インフルエンサーや有力なパートナーとの協力を通じて、ブランド認知度向上や新規顧客獲得、売上拡大につながる可能性があります。

3. 動画SEOの重要ポイント

動画SEOの重要ポイントには次のものがあります。

① 動画のタイトル

動画のタイトルに上位表示を目指す目標キーワードを含めると、含めない時に比べて上位表示しやすくなります。YouTubeの管理画面で動画の設定をする際には極力、動画のタイトルに目標キーワードを含めたものを記述しましょう。

また、動画のタイトルは検索結果ページに表示されるものなので、単にキーワードが含まれている単調なタイトルではなく、ユーザーがクリックしたくなるような訴求力のあるライティングを心がけるようにする必要があります。

《「矯正歯科」で検索したときのYouTube検索の検索結果ページ例》

《YouTubeの管理画面にある動画の設定ページ》

② 動画の概要欄

動画のタイトルだけでなく、動画の概要欄(説明欄)にも、上位表示を目指す目標キーワードを含めるようにしましょう。
ただし、無理をして目標キーワードを含めるのではなく、類義語を含めればアルゴリズムが同じ意味だと解釈してくれることがあります。

以下の例では矯正歯科という言葉ではなく、「矯正歯科」の類義語である「歯列矯正」というキーワードを記述しています。

《動画の概要欄に「矯正歯科」の類義語である「歯列矯正」というキーワードを記述している例》

③ タグ

タグ欄にも、上位表示を目指すキーワードを記述しましょう。ただし、関連性の高いキーワードだけを記述して、関連性の低いキーワードは含めないようにしましょう。

《YouTubeの管理画面にある動画の設定ページ》

④ 動画の内容との関連性

YouTubeのアルゴリズムは、話者が話している言葉を自動的に文字起こしするなどして動画の内容を自動的に分析します。

実際の動画の内容と関連性が高いキーワードなら上位表示しやすくなりますが、関連性が低い、または無いと上位表示は困難になります。必ず、動画に出てくる単語やキーワードを目標キーワードとして設定しましょう。

⑤ ユーザーエンゲージメント

他のソーシャルメディア、SNSと同様に、YouTubeやTikTokに投稿した動画はユーザーエンゲージメントが高いほど検索で上位表示されやすくなります。

動画のユーザーエンゲージメントには、動画の再生回数、再生時間、視聴完了率、コンテンツ内のリンクのクリック率、コンバージョン数、コンバージョン率、シェア数、コメント数、いいね数、チャンネル登録数(フォロー数)などがあります。

ユーザーエンゲージメントを高めるためには、ユーザーニーズを満たす内容の動画を作ることと、動画の中でいいねを押してもらうこと、チャンネル登録をしてもらうことを話者がお願いすることやテキストメッセージを表示してお願いすることも効果的です。

《動画の最後のシーンでチャンネル登録をテキストを表示してお願いしている例》

⑥ 関連性が高い動画をチャンネル内に多数投稿する

同じYouTubeチャンネルの中に関連性が高い動画を多数投稿すると上位表示しやすくなります。

例えば、エステサロンが運営するチャンネルに、脱毛エステに関する動画を何十本も投稿するとアルゴリズムが評価してくれるようになり「脱毛エステ」や、「脱毛」というキーワードで上位表示しやすくなります。

⑦ チャンネル登録者数を増やす

定期的に有益な動画をチャンネルに投稿することにより、チャンネル登録するユーザーが増加します。チャンネル登録者数が多いチャンネルが投稿した動画はアルゴリズムが多くのユーザーに支持されているチャンネルであると信用するため上位表示しやすくなります。

それではここで有力な動画マーケティングを可能にする2つのプラットフォームについて見てみましょう。

4. TikTok


ユーザー数
月間ユーザー数1,690万人(2021年時点)
メイン層
10代が最も多く全体の24.4%、20代は23.8%、30代は17.3%、40代は14.1%、50代は10.7%、60代は9.4%と、若年層の利用率が高い。
男女別利用比率
男性:55.2 % 女性: 44.8 %

① 短い動画フォーマット

TikTokでは、15秒か、60秒の短い動画を投稿することが主です。この短い動画フォーマットが、短い時間でさまざまなコンテンツを楽しめるという魅力を生んでいます。

《TikTokに投稿された動画の例》

② 音楽との連携

TikTokは音楽と密接に連携しており、アプリ内で様々な楽曲を使用して動画を作成できます。また、音楽やダンスを題材にした動画が多く、トレンドが生まれやすい環境です。

③ AI技術によるコンテンツのレコメンド

TikTokは、AI技術を活用してユーザーの興味や嗜好に合ったコンテンツをレコメンド(推薦)します。このため、個々のユーザーにとって魅力的なコンテンツが提供されやすくなっています。

④ 編集機能

TikTokには、さまざまなエフェクトやフィルター、スピード調整などの編集機能が充実しています。これにより、ユーザーは手軽にクリエイティブな動画を作成できます。

《TikTokアプリ内の撮影、編集画面》

⑤ ユーザー参加型のコンテンツ

チャレンジやデュエット機能を利用した、他のユーザーとのコラボレーションや参加型の動画が多く存在します。これにより、コミュニケーションやエンゲージメントが促されています。

「チャレンジ」とは、ハッシュタグチャレンジのことでTikTok広告メニューの1種であり、別名:#チャレンジ、#Challenge、タグチャレと呼ばれています。 ハッシュタグチャレンジを活用することで、企業はTikTok内のユーザーに、企業に関連したコンテンツの作成や投稿を促すことが可能になります。

デュエット機能とは、他のユーザーがTikTokで作成した動画に、自分の動画を付け加え、並べて投稿することができる機能です。 この機能では、画面が縦に二分割され、2つの動画が同時に再生されます。

これらの特徴から、TikTokは若い世代を中心に急速に人気が広がり、独自のコミュニケーションやトレンドが生まれているソーシャルメディアです。TikTokを活用してターゲットユーザーにアプローチする企業が増えています。

企業がTikTokを使って集客する際の重要ポイント

企業がTikTokを使って集客する際の重要ポイントとしては次のものがあります。

① ブランドアカウントを作成する

企業のブランドアカウントを作成して、アカウント名やプロフィール画像、自己紹介文などを通じて、企業のアイデンティティを表現し、フォロワーが興味を持ちやすいアカウントにすることが動画の閲覧数やフォロワー数を伸ばすのに効果的です。

② オリジナル動画を投稿する

TikTokでは、ユーザーが楽しめるエンターテイメント性の高いコンテンツが重要です。企業は、自社の製品やサービスを紹介する動画を制作し、TikTokの特徴を活かした独創的なコンテンツを投稿する必要があります。

③ トレンドやチャレンジに参加する

TikTokのトレンドやチャレンジに企業として参加することで、自社の知名度を上げることができます。また、自社独自のハッシュタグチャレンジを作成し、ユーザーに参加を促すことも効果的です。

「トレンド」とは、「トレンドタブ」のことで、投稿されている様々なコンテンツを検索し閲覧できる機能です。 トレンドでは、今話題の動画やハッシュタグ、音楽、クリエイターなどを探すことができます。

《トレンド(左)とチャレンジ(右)》

④ ライブ配信を活用する

TikTokのライブ配信機能を活用し、企業の製品やサービスをリアルタイムで紹介することができます。また、視聴者とのコミュニケーションを図ることで、企業と顧客とのつながりを深めることができます。

《ライブ配信》

その他にも他のソーシャルメディアと同様に、インフルエンサーや広告の活用とユーザーエンゲージメントを促す施策が有効です。

5. YouTube

ユーザー数
月間ユーザー数6,000万人(2022年時点)
メイン層
20代が最も多く97.7%の人が利用。 2番目に多いのが10代で97.2%、次いで30代の96.8%と続き、最も利用率が低いのは60代の67.0%
男女別利用率
男性:87.9 % 女性: 87.9 %

Google検索に次いで、世界で二番目に人気のある検索エンジンだとも言われるほどの影響力を持つようになりました。
YouTubeもSNSと同様に売り込みの動画だけを配信するのではなく、普段は視聴者にとって役に立つ無料お役立ち動画を中心に投稿することが集客効果があることがわかってきました。

YouTubeに企業が投稿している動画のテーマには次のようなものがあります:

① エンタメ動画
② ハウツー動画
③ ニュース動画
④ 会社案内動画
⑤ リクルート動画
⑥ 商品・サービス紹介動画
⑦ 商品・サービスの使い方紹介動画
⑧ お客様取材動画
⑨ 作品例紹介動画

企業が投稿してユーザーに見られている動画のほとんどは5分前後のものから10分前後の長さです。チャンネル登録者を増やし、投稿する動画をより多くの人達に見てもらうためにはこの長さの動画を継続的に自社のチャンネルに投稿する必要があります。

①から③は商品・サービスの売り込みの動画ではなく、それぞれ娯楽性が高い内容の動画、何かのやり方を解説する動画、業界の最近の話題のニュースを解説する動画というような無料お役立ち動画です。

これらの動画を頻繁に投稿することにより、ターゲットユーザーが動画を投稿する企業を信用してくれるようになります。

そしてターゲットユーザーが信用してくれるようになったら、何本かに1本の割合で④から⑨の企業や商品・サービスを宣伝する動画を作って投稿しましょう。

そうすると普段より無料お役立ち動画を見て、動画を配信している企業を信用してくれている視聴者が④から⑨の動画を見てくれやすくなります。それにより動画を見た視聴者が商品・サービスを購入してくれる確率が格段に高まります。

このように動画配信においてもSNSと同様に商品・サービスを売り込む前に、ターゲットユーザーを喜ばすコンテンツを作って提供する必要があることを理解し、先ずはたくさんの無料お役立ち動画を作るようにしましょう。

すでに業績を伸ばしている企業の多くがYouTube内にチャンネルを開設し、そこで商品・サービスの紹介動画だけでなく、ターゲットユーザーに役立つ無料お役立ち動画を高頻度で投稿しています。

そして本記事で紹介した動画マーケティングの戦略の要素の多くを実施して大きな成果をあげています。
最初から動画マーケティングが成功することはありません。必ず粘り強く、やるべきことを1つ1つ着実に実施しましょう。

6. 1つのショート動画をTikTok、YouTube、Instagram、Facebookに同時に投稿する

数十秒の長さで縦長の動画が普及したことによって、動画マーケティングに使用する動画のフォーマットは、短尺動画と長尺動画に二極化するようになりました。

TikTokとInstagramのリール動画が流行したことを受けて、YouTubeもショート動画を始めました。
その後、数十秒の長さで縦長の動画を作成し、TikTok、YouTubeショート、Instagramリール、Facebook Watchに同時に投稿するという手法が生まれました。

この中でも特にYouTubeショートを投稿するとチャンネル登録者が増える、Instagramリールを投稿するとInstagramのフォロワーが増えるということが多くの企業から報告されるようになりました。

こうした流れを捉えるために数十秒の長さで縦長の動画を作成して、複数のソーシャルメディアに投稿し、最短でチャンネル登録者数、フォロワーの増加を目指すための取り組みが求められます。

最後に、YouTubeでは動画の視聴回数をクリックするために最も重要な対策として、動画のサムネイル画像について説明します。

7. YouTube動画のサムネイル画像に使用する画像の調達

YouTube動画のサムネイル画像とはYouTubeの検索結果やおすすめ動画の一覧などに表示されるクリック可能な小さな画像のことです。

《YouTube公式サイト内に表示されるサムネイル画像の例》

YouTube動画のサムネイル画像として使う画像や、SNSへの投稿記事に掲載する画像はユーザーの注意を引く上で非常に重要な役割を持っています。

使用する画像コンテンツを調達するには次のような方法があります。

① 自社制作のオリジナル画像

自社でオリジナルの画像コンテンツを制作することができます。これには、専門的なデザインスキルや写真撮影の技術が必要ですが、独自性とブランドイメージを最も高める方法です。

② ストックフォト・ストックイラスト

「ストックフォト」とは、いわゆる素材写真のことで何らかの用途にライセンス提供される既存の写真のことです。出版社、雑誌社、広告代理店、映画製作者、Webデザイナー、グラフィックアーティスト、インテリア用の写真としてなど、様々な用途でストック写真が使われています。ストックイラストも同様に一定の条件のもとで使用が許可されたイラストやアイコンなどの画像を意味します。

ストックフォトを利用することで、プロの写真家が撮影した高品質な画像を利用することができます。有料のサイトもありますが、無料で利用できるサイトも多く存在します。著作権やライセンスに注意して利用する必要があります。

③ テンプレート集

Canva等の画像制作ツールを使うと、たくさんのサムネイルのテンプレート集から自分のイメージにあったデザインを利用することが可能です。画像を一部差し替えたり、テキスト部分を書き換えれば短時間でデザイン性が高いサムネイル画像を作成することができます。

《Canvaで利用できるYouTube動画用サムネイル画像作成ツールの例》

④ クリエイティブコモンズ

クリエイティブコモンズライセンスが適用された画像を無料で使用することができます。「クリエイティブコモンズ」とは、著作権者が自分の作品を柔軟な著作権ライセンスのもとで公開・配布できるようにするための非営利団体です。

2001年に設立され、著作権を保持しながらも、作品を他者と共有したり、再利用や改変を許可したりするためのライセンス体系を提供しています。ストックフォト・ストックイラストと同様に一定のライセンスの条件に従って使用する必要があります。

⑤ フリーランスデザイナーやカメラマン

オリジナルの画像コンテンツを制作するために、フリーランスのデザイナーやカメラマンを雇うことができます。これにより、自社でスキルを持っていなくても、プロのクオリティの画像コンテンツを取得することができます。

フリーランスデザイナーやフリーのカメラマンはココナラ、ランサーズ、クラウドワークス等のクラウドソーシングサービスで見つけることができます。

⑥ ユーザー生成コンテンツ(UGC)

自社の製品やサービスを利用している顧客から、写真や画像を投稿してもらう方法です。ユーザー生成コンテンツは、信頼性が高く、口コミ効果も期待できます。ただし、ユーザーからの許可を得て使用する必要があります。

⑦ AI生成コンテンツ

近年、テキストで希望するイメージを入力するとAIが自動的にオリジナルの画像を生成して無料で作成するサービスが提供されています。非常に便利なツールですが、肖像権や著作権に留意して使用する必要があります。

《ChatGPTで生成した画像の例》

こうした様々な手段を使い、絶えずビジュアル的に訴求してユーザーの注意を引く画像、自社のブランドイメージを向上、維持する良質な画像をサムネイル画像として設定して投稿しましょう。

以上ですが、動画マーケティングの意味と実施方法についてです。工夫をすることにより参入障壁が高いと思われる動画マーケティングは中小企業や個人でも十分実施できるはずです。この実施方法を参考にして動画マーケティングという新しい集客法を自らの手で実施して大きな成功を勝ち取って下さい。

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