アクセス数が少ないサイトの多くがSNSやYouTube等のソーシャルメディアを活用していない、または運用していてもソーシャルメディアから自社サイトへの誘導が上手くいっていないという問題を抱えています。ソーシャルメディアからのアクセス数が無い、またはあったとしても少ないのには次のような理由があります。
[1] ソーシャルメディアを運営していない
[2] 主要なソーシャルメディア全てを運営していない
[3] 情報の更新頻度が低い
[4] リンクがクリックされていない
目次
1. ソーシャルメディアを運営していない
多くの人々が毎日どころか、毎日何回も利用するソーシャルメディアはウェブサイトの訪問者数を増やすために欠くことができない集客ツールです。現在ソーシャルメディアを運営していない場合は、まずはSNSの中でも人気が高いInstagram、X(旧Twitter)、Facebook等のSNSのアカウントを取得して情報発信を始めましょう。
Instagram、X、Facebookそれぞれに特徴があり、異なったコンテンツを投稿したほうが最大の効果を期待できますが、運営に慣れるまでの間は全く同じコンテンツ、またはほとんど同じコンテンツを投稿しても問題はありません。
最初のうちは、自社サイトに新しいページを追加したり、新しい商品・サービスをリリースしたときや、サイト内に設置しているブログに新しい記事を投稿した時にだけ新しいページを追加したことを紹介する内容を投稿しましょう。記事を投稿する際には、紹介するウェブページの概略と、そのウェブページを見るためのURLを記載すれば、URLをユーザーがクリックするとそのURLのウェブページに遷移することができます。
《新しいサービスをリリースしたことを伝えるFacebookとXの投稿記事例》
FacebookやXは投稿する記事内にURLを記載すればその部分がリンク化されるので、自社サイトのページに自由にリンクを張ることができます。
しかし、Instagramでの最もスタンダードな情報投稿形式であるフィード投稿では、写真のキャプション欄にURLを入力することはできますが、URLはリンク化されないのでユーザーがクリックしてもそのURLのウェブページに遷移することはできません。
《Instagramのフィード投稿のキャプション欄に記載されたURLの例》
広告料金を支払いその記事を広告として投稿することで、Instagramの写真をリンク化して、ユーザーにそのURLのウェブページに遷移してもらうことが唯一の公式な方法です。ただし、Instagramの「ストーリー」では、「リンク」ステッカーを使用することによりそれをクリックしたユーザーがそのURLのウェブページに遷移してもらうことが可能です。
また、自社のInstagramアカウントのプロフィールページからは自社のサイトにリンクを1つだけ張ることができますので、フィード投稿からはリンクを張れなくても、フィード投稿を見て、そのアカウントに興味を持ったユーザーがそのプロフィールページにあるリンクをクリックしてくれることが期待できます。
《Instagramアカウントのプロフィールページにある自社サイトへのリンクの例》
こうした理由から、Instagramも自社サイトのアクセス数を増やすためのツールとして活用することが十分可能です。
SNS以外のソーシャルメディアであるYouTubeも自社サイトの流入を増やす有力なツールになります。
動画の概要欄には自由にいくつでも自社サイトにリンクを張ることができます。動画の中で話題にしている無料お役立ち情報や商品・サービス販売ページへのリンクを張ることによりリンク先のサイトのアクセス増が可能になります。
《YouTubeの概要欄に記載されている自社サイトへのリンクの例》
2. 主要なソーシャルメディア全てを運営していない
現在、ソーシャルメディアを運営しているとしてもターゲットユーザーが見ている可能性がある全てのソーシャルメディアを運営していないと機会損失になります。全てのインターネットユーザーが使っているソーシャルメディアというものは無いはずです。
Instagramを使っている人はInstagramばかりを見ている可能性がありますし、Xが好きな人はFacebookが嫌いなためFacebookを使っていない可能性があります。そのため、なるべくたくさんの種類のソーシャルメディアを使った方が、それだけターゲットユーザーにリーチできる可能性が高まります。
Instagram、X、Facebook、YouTubeの他にも、LINE公式アカウントや、Pinterest、TikTok等もとても人気のあるソーシャルメディアです。自社サイトにターゲットユーザーを流入させることが可能だと思うソーシャルメディアは全て活用したほうが得です。
3. 情報の更新頻度が低い
現在ソーシャルメディアを使っていたとしても、更新をしていなければサイトへの流入は増えません。企業がSNSに投稿しているコンテンツのテーマには次のような種類があります。
《企業がSNSに投稿しているコンテンツのテーマの種類》
① ウェブサイトの更新情報 | ② ブログの更新情報 |
③ スタッフの日常報告 | ④ 無料お役立ち情報 |
⑤ 無料サービスの提供 | ⑥ イベント情報 |
⑦ プレゼント情報 | ⑧ アンケート募集案内 |
⑨ マスコミの取材報告 | ⑩ ユーザー紹介・お客様紹介 |
⑪ 商品・サービスの活用事例 | ⑫ 商品・サービスの活用方法 |
⑬ キャンペーン情報 | ⑭ 商品・サービス情報 |
そしてプラットフォーム別の推奨される投稿頻度は次のようなります。
《各ソーシャルメディアプラットフォームに投稿すべきおおよその推奨される投稿頻度》
プラットフォーム | コンテンツの投稿頻度 |
---|---|
YouTube | 最低でも月に1回程度。 週に1回から数回の投稿が理想的。 週3回、1日おきくらいで投稿するのがおすすめ。 |
TikTok | 最低でも週に1回程度。 1日に1回から数回の投稿が理想的。 |
X | 最低でも1日に1回。 Xは情報の流れが速いため、投稿頻度が高いほど露出が増えるので一般的には1日に3~5回程度の投稿が効果的とされている |
Facebookページ | 最低でも週に1回程度。 1日に1回から2回程度の投稿が理想的。 |
最低でも週に1回程度。 1日に1回から数回の投稿が理想的 |
|
最低でも週に3〜5回程度。 |
ソーシャルメディアユーザーは新しい情報を求めています。可能な範囲で良いので定期的にコンテンツを投稿して自社サイトに誘導しましょう。
4. リンクがクリックされていない
自社が運営する様々なソーシャルメディアにコンテンツを、理想的な更新頻度で投稿したとしても、コンテンツ内に掲載したリンクをユーザーにクリックしてもらうことは簡単なことではありません。SNSやYouTubeなどのソーシャルメディアを使うユーザーはコンテンツ内に掲載されているリンクをクリックする可能性が低いです。
これは、ソーシャルメディアユーザーがコンテンツを閲覧する際に、リンクをクリックするよりも、他のユーザーの投稿やコンテンツに目を向けていることが理由です。また、ソーシャルメディアユーザーは、リンクをクリックすることで、別のウェブサイトに移動し、個人情報や閲覧履歴が追跡されることを懸念している場合もあるからです。
リンクがクリックされない理由として考えられる原因には次のようなものがあります。
① フォロワーが少ないので投稿内容を見るユーザーが少ない
② ユーザーが見たいコンテンツを頻繁に投稿できていない
③ ユーザーとの信頼関係がまだ構築されていない
④ ソーシャルメディアにある検索エンジンで上位表示をするためのSEOをしていない
⑤ リンクをクリックする理由がほとんど無い
① フォロワーが少ないので投稿内容を見るユーザーが少ない
SNSのフォロワーやYouTubeのチャンネル登録者の数が少ない場合は、コンテンツを投稿しても見てくれるユーザーの数が非常に少なくなります。そのため投稿したコンテンツをたくさんのユーザーに見てもらうためには必ずフォロワー数、登録者数を増やさなくてはなりません。
フォロワー数を増やす方法を知るにはまず、フォロワー数が増えない理由から知る必要があります。フォロワー数が増えない理由には次のものがあります。
(1)過去の投稿数が少ないのでフォローする理由がほとんどない
(2)フォローしたくなるような役立つ情報が投稿されていない
(3)自社サイトの全てのページから自社のソーシャルメディアアカウントにリンクを張っていない
(1)過去の投稿数が少ないのでフォローする理由がほとんどない
各ソーシャルメディアへの投稿数は少なくとも50件くらいに達しないと、アカウントを見に来たユーザーがそのアカウントは活発に情報を投稿していないと感じてしまいます。ユーザーがアカウントをフォローする理由の一つは、そのアカウントをフォローすると将来たくさんの役立つ情報が得られると感じるからです。
SNSのフォロワーを増やしたいと思ったら少なくとも50件くらいはユーザーがためになったと思ってもらえるようなコンテンツを投稿しましょう。そしてYouTubeのチャンネル登録者数を増やしたければ数分から10分程度の長さの動画で十分なので、ユーザーの興味を引きそうなサムネイル画像を設定して投稿しておきましょう。
《数数百件以上コンテンツを投稿しているリフォーム会社のInstagramアカウントの例》
《数百件以上コンテンツを投稿している法律事務所のYouTubeチャンネルの例》
(2)フォローしたくなるような役立つ情報が投稿されていない
ユーザーは役立つ情報が欲しいからSNSのアカウント、YouTubeのチャンネルに登録するものです。フォロワー数、登録者数を増やすには役立つ情報を投稿するほかありません。
いつも商品・サービスの宣伝のコンテンツを投稿するのではなく、それらよりも多い頻度で無料お役立ち情報を投稿するか、無料お役立ち情報を自社サイトにウェブページ、ブログ記事として投稿して、そのページを見てもらうための紹介記事、または紹介動画をソーシャルメディアに投稿しましょう。
《無料お役立ち情報が掲載されているブログにユーザーを誘導するための投稿例》
(3)自社サイトの全てのページから自社のソーシャルメディアアカウントにリンクを張っていない
自社サイトを訪問してくれたユーザーのほとんどはサイト運営者が期待する商品・サービスを購入せずに立ち去ります。しかし、自社サイトの全てのページから自社のソーシャルメディアアカウントにリンクを張っておけば、サイトから立ち去る前にソーシャルメディアを見てフォロー、または登録してくれる可能性が生じます。
そのサイトの情報を将来も取得したいと思ったサイト訪問者はロゴリンクをクリックしてフォローしてくれる可能性があるので必ずサイト内の全ページのフッターあたりの場所にソーシャルメディアのロゴリンクを張っておきましょう。
《ソーシャルメディアのロゴリンクの例》
② ユーザーが見たいコンテンツを頻繁に投稿できていない
そもそもユーザーが見たいコンテンツを頻繁に投稿していなければ、たくさんのユーザーが自社のソーシャルメディアコンテンツを見ることは無いはずです。そしてコンテンツを見てくれなければ当然、そこに掲載されている自社サイトへのリンクをクリックするはずがありません。
ユーザーが見たいコンテンツを頻繁にソーシャルメディアに投稿すれば、そこにあるリンクをクリックして自社サイトを見に来てくれる道が開けます。そのためには、ユーザーがソーシャルメディアのコンテンツとしてどのようなものが見たいのかを一定の時間をかけて調査することです。ソーシャルメディアユーザーのニーズを調べるには次のような方法があります。
(1)Keyword Tool等のキーワードサジェストツールを使ってユーザーが見たがっているコンテンツのテーマを調査する
(2)競合調査をしてどのような投稿内容がユーザーに好まれているかを調査する
(3)ソーシャルメディアが提供するアクセス解析ツールを使い、過去に投稿したコンテンツの中でどのようなコンテンツがユーザーに好まれたのかを調査する
(1)Keyword Tool等のキーワードサジェストツールを使ってユーザーが見たがっているコンテンツのテーマを調査する
Keyword Tool(https://keywordtool.io)のようなキーワードサジェストツールを使うと、ソーシャルメディア内の検索エンジンでどのようなキーワードで検索されているかがわかります。
《ソーシャルメディア内の検索エンジンでの検索需要を調査する「Keyword Tool」》
《Keyword Tool内にあるYouTube検索のキーワード調査機能》
こうしたツールを使うとInstagram、X、YouTube、Pinterest等の人気ソーシャルメディアにある検索エンジンを使ってユーザーがどのようなコンテンツを見たがっているのかがわかります。
(2)競合調査をしてどのような投稿内容がユーザーに好まれているかを調査する
フォロワー数、チャンネル登録者数が多い、競合企業のSNSアカウント、YouTubeチャンネルにどのようなコンテンツが投稿されているのかを見てみましょう。そして、いいねの数、シェア数、コメントの数、動画の再生回数が多いアカウントが投稿しているコンテンツのテーマ、構成、文章の書き方、画像の内容を観察して参考にしましょう。
(3)ソーシャルメディアが提供するアクセス解析ツールを使い、過去に投稿したコンテンツの中でどのようなコンテンツがユーザーに好まれたのかを調査する
多くのSNSや動画プラットフォームはアカウント運営者がコンテンツを改善できる手がかりを得るためのアクセス解析ツールを提供しています。
これらのツールを使うと、過去に投稿したコンテンツのユーザーエンゲージメントを知ることができます。「ユーザーエンゲージメント」とはユーザーが抱く、コンテンツやウェブサイトに対する愛着度のことです。SNSのユーザーエンゲージメントには、いいねの数、シェア数、コメントの数、コメントへの返信数、保存回数、その他感情を表すアイコンのクリックなどがあります。
《Facebookのアクセス解析ツール「Meta Business Suite」》
動画のユーザーエンゲージメントには、動画の再生回数、再生時間、視聴完了率、コンテンツ内のリンクのクリック率、コンバージョン数、コンバージョン率、シェア数、コメント数、いいね数、チャンネル登録数(フォロー数)などがあります。
《YouTubeのアクセス解析ツール「YouTube Studio」》
これらのアクセス解析ツールを定期的に見て、ユーザーエンゲージメントが高いコンテンツと低いコンテンツの違いを考察しましょう。そうすればユーザーエンゲージメントが高いコンテンツの特徴を反映したコンテンツを再生産して投稿し、ユーザーエンゲージメントが低いコンテンツの特徴を含む投稿は減らしていくなどの施策が取れるようになります。
③ ユーザーとの信頼関係がまだ構築されていない
ソーシャルメディアのユーザーはめったなことではコンテンツ内のリンクをクリックして外部のサイトへは行きたがりません。ユーザーが未だ信頼できると思っていない企業が運営するアカウントやチャンネルが投稿したコンテンツにあるリンクをクリックする確率は限りなく低くなります。
ユーザーがクリックするリンクは、信頼できる企業または個人が投稿したコンテンツ内にあるリンクだけだと言っても過言ではないでしょう。まずは、ユーザーとの信頼関係を構築しましょう。そのためは商品・サービスの宣伝投稿よりも、多くの無料お役立ちコンテンツの投稿を継続することを心がけましょう。
④ ソーシャルメディアにある検索エンジンで上位表示をするためのSEOをしていない
SNS内の検索エンジンでのSEOの本質は、ユーザーエンゲージメントが高くなる良質なコンテンツを頻繁に、そして継続的に投稿するのが本質ですが、テクニカルな対策として、テキスト内に上位表示を目指すキーワードを含めることと、ハッシュタグを複数記述することです。これらをしたほうが検索で少しでも上位表示されやすくなりますので忘れずに記述するようにしましょう。
《Xアプリ内の検索画面と、検索結果ページに表示された投稿の例》
YouTubeにおいても動画SEOの本質は、ユーザーエンゲージメントが高くなる良質な動画を頻繁に、そして継続的に投稿するのが本質です。それ以外のテクニカルな対策は、動画のタイトルや説明文、タグにキーワードを含めることです。これらのことをすることで動画共有のソーシャルメディア内の検索エンジンでの表示順位を向上させ、より多くの人々に見てもらえるようになります。
《YouTubeの管理画面にある動画の設定ページ》
《YouTubeの管理画面にある動画の設定ページ》
⑤ リンクをクリックする理由がほとんど無い
ソーシャルメディアから自社サイトへの流入が少ない理由でよくあるのが、コンテンツ内のリンクをユーザーがクリックする理由がほとんど無いというものがあります。
コンテンツ内から機械的に自社サイトにリンクを張っても、ユーザーにとってはそのリンクをクリックする理由はありません。
ユーザーにリンクをクリックしてもらうためには、リンクをクリックすることによりユーザーがどのようなベネフィットを得ることができるかを考える必要があります。「ベネフィット」(benefit)とは、物事から得られる便益、利益、恩恵のことを指します。これらは金銭的な意味だけでなく心理的なもの含まれます。ユーザーがリンクをクリックする理由には次のものがあります。
(1)リンクをクリックすると価値のある情報を見ることができる
(2)リンクをクリックすると楽しい娯楽コンテンツを利用することができる
(3)リンクをクリックするとユーザーが抱える問題や悩みを解決することができる
(4)リンクをクリックすると何らかのデジタルコンテンツがダウンロードできる
(5)リンクをクリックするとプレゼントがもらえる、または応募ができる
(6)リンクをクリックすると商品・サービスの割引を受けることができる
こうしたベネフィットを考えた上で、リンク先を決めてクリックしたくなるような文章やフレーズでクリック率を増やしましょう。
以上が、ソーシャルメディアから自社サイトへのアクセス数が少ない原因と解決策についてです。ソーシャルメディアを活用し続けることにより、必ずウェブサイトのアクセス像は実現されます。