近年、非常に多くの企業が気にしていることがあります。それはGoogle地図検索の表示順位です。この地図検索で自社の情報が上位表示されれば、自然検索1位のサイトの上に自社の情報を表示して新規客が獲得できるからです。
そしてさらに多くの企業が気にしていることがあります。それはGoogle地図検索に表示される企業の評価を示す星印の数とレビューの内容です。何故ならその評価の良し悪しが集客率に多大な影響を与えるからです。
目次
MEOとは何か?
Googleに広告費を払わないで集客する手段にはSEOの他に、MEOという手段があります。「MEO」(Map Engine Optimization)とはスマートフォンにインストールされたアプリ版Googleマップのような地図検索や、Google検索の検索結果ページの上部に表示される地図欄で上位表示するための施策のことを言います。
Googleの地図検索「Googleマップ」の利用率は99.4%で、市場シェアは1位です。圧倒的な利用率を誇っています。また、Googleは国内の検索エンジンの市場シェアでも圧倒的1位であるためGoogleマップでの順位が高いと、そのデータが表示されるGoogle検索でも自社情報の露出が増えます。
そのためGoogleの地図検索エンジンに対するMEOを実施して露出を増やすことは多くの企業、特に店舗運営者にとって非常に重要な課題になっています。
GoogleのMEO
GoogleでのMEOを成功させるためには、次の対策が有効だということがわかってきています。
② Googleビジネスプロフィールに適切な情報を入力する
③ Googleビジネスプロフィールにコンテンツを増やす
④ 自然検索で上位表示をする
⑤ Googleビジネスプロフィールに口コミ情報(レビュー)を投稿してもらう
⑥ 口コミ情報に返信をする
① Googleビジネスプロフィールに登録して本人確認を完了する
Googleのユーザー登録をするとGoogleビジネスプロフィール(旧称:Googleマイビジネス)を運営することができます。Googleの地図検索に表示される情報は基本的にこの企業・団体専用のGoogleビジネスプロフィールに掲載されている情報です。
そのため、MEO成功のための第一歩は、このGoogleビジネスプロフィールを運営することです。ただし、ここで1つ重要な注意事項があります。それは自分がGoogleビジネスプロフィールに登録する前に、すでにGoogleが電話帳情報などに基づいて当事者に無断で登録していることがあることです。
このことを知らずに Googleビジネスプロフィールに登録手続きをしてしまうと、2つのGoogleビジネスプロフィールのアカウントが作られることになり、後々問題を引き起こすことになります。この問題を未然に防ぐためには、Googleで自社の正式な会社名、または店名、たとえば登録しようとする企業の名前が「すずき洋品店」ならば「すずき洋品店」というキーワードでGoogle検索をする必要があります。
《「すずき洋品店」というキーワードでのGoogle検索結果》
そしてすでにすずき洋品店のGoogleビジネスプロフィールがGoogleによって無断で作られていたら、次の図にあるように「ビジネスオーナーですか?」というリンクをクリックして自動電話等による本人確認を行いましょう。
《本人確認画面の表示》
本人確認が完了すると管理画面に入って自由に情報を入力したり、コンテンツを追加することができるようになります。
この本人確認は新規でGoogleビジネスプロフィールを登録するときも必要です。そうすることで、なりすましによる情報登録を防止するようになっています。
② Googleビジネスプロフィールに適切な情報を入力する
本人確認が済んだら、次にするべきことはNAP情報を正確に入力することです。NAP情報とは、Name(ビジネス名)、Address(住所)、Phone(電話番号)のことをいいます。Googleはこの3つの情報を非常に重要視しています。入力フォームに情報を正確に記入しないと上位表示に不利になることがあるので細心の注意を払う必要があります。
(1)Name(ビジネス名)
ここには正式な会社名、または店名を入れるようにしてください。たとえば、相続相談業務を提供している鈴木法律事務所という事務所の場合は、正式な名前は「鈴木法律事務所」ですので、そのまま「鈴木法律事務所」という言葉を入力してください。
Googleの地図検索ではNameの部分に検索キーワードが含まれると上位表示に有利になります。「鈴木法律事務所」という名前をNameの欄に記入するとGoogleの地図検索で「法律事務所」というキーワードで検索すると上位表示されやすくなります。
しかし、だからといって「相続相談 法律事務所」というキーワードで地図検索で上位表示するためにNameの欄に「相続相談の鈴木法律事務所」だとか、「相続相談なら鈴木法律事務所」というような正式名以外の言葉を入れて登録すると、Googleビジネスプロフィールの審査スタッフが不正行為をしていると見なします。その結果、地図検索で上位表示できないようにペナルティを受けることになるので気を付けましょう。
《東京都港区内で「法律事務所」で検索したときの検索結果ページ》
(2)Address(住所)
住所は完全にすべての項目を正確に記入する必要があります。ミスがあると上位表示に不利に働きます。
(3)Phone(電話番号)
電話番号はその事業所の電話番号を記入してください。0120などのフリーダイヤルではなく、市外局番の含まれる通常の固定電話の電話番号の方が所在地がわかりやすいために上位表示に貢献します。
NAP情報の次に重要なのが画像ファイルの投稿です。事業所の写真や、スタッフの写真など、画像ファイルをアップロードすると一般ユーザーが地図検索結果上で見ても充実した情報があるという印象を持ちやすくなるので上位表示に有利に働きます。なるべく早い時期にこれらの画像をアップロードしましょう。
《Googleビジネスプロフィールの管理画面での写真投稿の手順》
なお、Googleビジネスプロフィールへの適切な登録方法についての詳細は下記を参照してください。
③ Googleビジネスプロフィールにコンテンツを増やす
自社のGoogleビジネスプロフィールになるべく頻繁に情報を投稿しましょう。地図検索での上位表示にプラスに働きます。投稿可能なコンテンツは次のように、年々増えています。
・記事
・写真
・商品・サービス情報
・イベント情報
・クーポン情報
投稿する記事の内容は、FacebookページやX(旧Twitter)も運用している場合は同じコンテンツを投稿しても問題はありません。Googleビジネスプロフィール用のコンテンツを作ることができない場合は、自社が運営しているSNSに投稿しているコンテンツと同じものを投稿して更新を怠らないことが重要です。
《Googleビジネスプロフィールの管理画面》
投稿文の中には毎回、自社が上位表示したいさまざまなキーワードをしつこくない程度に含めると、それらのキーワードで上位表示しやすいことがわかっています。くれぐれも毎回、同じキーワードが含まれた文章を投稿するのではなく、毎回、異なったキーワードを自然に含んだ文章を投稿しましょう。そうした自然にキーワードが含まれた文章を投稿すると地図検索欄で上位表示しやすくなります。
《Googleビジネスプロフィールに投稿された情報》
④ 自然検索で上位表示をする
Googleは本業である検索エンジン会社として世界中のウェブサイトの情報を持っています。その情報にはどのサイトがどのような企業や団体のサイトからリンクが張られているのかという社会的な評判の情報から、各サイトがどれだけGoogle検索で検索されているのかというサイトの人気度に関する情報があります。
また、リンクが張られなくとも信頼性の高い企業が団体が運営しているサイトに自社の企業名が掲載され紹介されることは「サイテーション」と呼ばれ、一定の効果があります。サイテーション(citation)とは、英語で「引用」を意味する言葉です。SEOにおいては、ウェブ上のさまざまなメディアに自社名や自社サイトの名称が掲載されていることを意味します。そのためサイテーションを増やすための対策としては、広報活動を強化することや他の企業・団体との業務提携などを増やすことが効果的です。
Googleはこれらの情報をウェブの検索エンジンだけでなく、地図検索エンジンでも活用しています。そのため、ウェブ検索で評価の高いサイトを運営している企業は地図検索でも上位表示されやすくなっています。つまり、通常のGoogleの検索結果画面で上位表示していればいるほど地図部分でも上位表示するようになるということです。そのため、地図検索で上位表示するには、自然検索のSEOもしっかりと行う必要があります。
《「大阪 矯正歯科」で検索した際に同じ企業が地図欄と自然検索の両方に上位表示されている例》
⑤ Googleビジネスプロフィールに口コミ情報(レビュー)を投稿してもらう
地図検索での上位表示に決定的に有利になるのがたくさんの顧客に口コミ投稿をしてもらうことです。実際にサービスを利用してもらったお客様にお願いをして口コミを書いてもらうようにしましょう。
ただし、Googleビジネスプロフィールの担当スタッフは不正行為に絶えず注意を払っているので注意しなくてはなりません。短期間に大量の口コミを投稿したり、不正な口コミ投稿を代行する企業に口コミ投稿を依頼するようなことは避けてください。そうしたことをすると独自のチェックシステムによって不正行為が見破られることがほとんどです。不正行為が見破られた場合、地図部分での上位表示はできなくなるようにペナルティが与えられてしまうので気をつけましょう。
《Googleビジネスプロフィールに投稿された口コミ情報》
GoogleはGoogleビジネスプロフィールのガイドラインの中で金銭や物品、割引などの経済的対価を顧客に与えることによって口コミ投稿を増やすことを禁止しています。口コミ投稿を増やすにはサービス提供者が直接、顧客に投稿を依頼するか、投稿のお願いに関するチラシなどを手で渡すことが有効な方法です。
⑥ 口コミ情報に返信をする
2018年からの傾向としては、投稿された口コミにGoogleビジネスプロフィール運営者がまめに返信をすると、そうでない場合に比べて地図検索で上位表示しやすくなりました。特に、返信のコメント欄に自社が地図検索で上位表示を目指すキーワードをしつこくない程度含めると上位表示しやすくなりました。
《Googleビジネスプロフィールに投稿された口コミ情報とオーナーからの返信》
Google以外の検索エンジンのMEO
Google以外の主要検索エンジンであるYahoo! JAPANやMicrosoft Bingなども検索結果画面に地図欄を表示するようになっています。
① Yahoo! JAPAN
Yahoo! JAPANの自然検索部分はGoogleの検索結果データを利用していますが、地図部分の情報は独自に収集し順位を決定しています。 Yahoo! JAPANは独自にYahoo!プレイスというサービスを2019年12月から提供開始しました。
そのときからYahoo!検索の地図部分で上位表示をするにはYahoo!プレイスに自社の情報を登録することが効果的になりました。これはGoogleが提供しているGoogleビジネスプロフィールと似たサービスです。
Yahoo!プレイスに登録することにより、Yahoo!検索だけでなく、Yahoo! MAP、Yahoo!ロコなど、Yahoo! JAPANの各種サービスに連携して自社の情報を投稿することができます。Yahoo!検索の地図部分で上位表示をするにはGoogleビジネスプロフィールと同様にYahoo!プレイス内の自社情報を充実させ、口コミを増やしそれらにオーナーとして返信を書くことが効果があるということがわかっています。
その他にも、Yahoo! JAPANが提携している外部のポータルサイトに自社情報が登録され、たくさんの口コミがそれらポータルサイト上で投稿されていると上位表示する傾向があります。
② Microsoft Bing
検索エンジンのMicrosoft Bing(旧称:Bing)を運営するMicrosoftも近年になりBing Places for Businessというツールを提供開始しました。それを使うと自社のビジネス情報の追加や管理ができるようになりました。これによりMicrosoft Bing検索の地図部分で上位表示を目指すMEOがスタートしました。なお、Microsoft Bingは口コミ情報を独自には運営せずに、提携している国内外のポータルサイトの口コミが表示される仕様になっています。
《Microsoft Bingの地図部分の例》
このようにYahoo! JAPANも、Microsoft Bingもサイト運営者側で活発に編集したり、情報投稿することができるようになり、MEOの対象が拡大するようになりました。
Appleの「マップ」でのMEO
AppleはiPhone、iPad、Mac等の製品上に「マップ」という地図アプリを提供していますが、検索エンジンの検索結果ページには表示されません。しかし、その利用率は地図アプリのジャンルでは43.5%のシェア(口コミラボ調べ)を占めているので大きな影響力をもっています。
マップのMEO対策もGoogle地図検索のようにAppleが無料で提供している管理ツールのApple Business Connectに企業情報を登録し、良い口コミを増やす対策が求められます。口コミ情報はAppleが提携しているトリップアドバイザーや食べログ等の外部のポータルサイトに投稿されたものが反映されるため、それらのポータルサイトにレビューを増やしていく取り組みが必要です。
《Appleの「マップ」に表示されている店舗情報とレビューの例》
以上が、MEOの意味と、地図検索エンジンで上位表示するための全対策です。できるところから着手して地図検索での上位表示を自らの手で実現して下さい。