オンライン広告

広告を出しても自社サイトのアクセスが増えない理由とその解決策

最終更新日:2024年3月30日 執筆:SEOコンサルタント 鈴木将司

サイトのアクセス数を増やす強力な手段の1つは広告を出稿することです。ユーザーに訴求する広告コピーやビジュアル、魅力的なオファー内容が揃えばクリック率は高くなりサイトへのアクセス数は増加します。しかし、それができていない場合や次のような理由のためサイトへのアクセス数は増えることはありません。

[1] ターゲティングがズレている
[2] ターゲットユーザーが狭すぎる
[3] 広告予算が少ない
[4] 広告の配信タイミングが不適切
[5] キャッチコピーがターゲットユーザーに訴求していない
[6] 広告のデザインやビジュアルが不適切
[7] 広告メッセージが一貫性を欠いている

目次

1. ターゲティングがズレている


これは広告が適切なユーザーに表示されていないという意味です。例えば、若年層向けの製品の広告が年配の人々に表示されたり、逆に年配の人々向けの製品の広告が若年層に表示される場合、広告はあまりクリックされず、結果的にサイトへのアクセス数も少なくなります。広告はその製品やサービスを必要とする、または興味を持つ可能性のある正確な層に向けて配信されるべきです。クリック数が思ったよりも少ない場合はターゲティングの設定を見直して最適化することが必要です。

① ターゲティングがズレている例

(1)若年層向けのファッションブランドが年配の人々に広告を配信する場合

若年層向けの最新トレンドやストリートウェアを扱うファッションブランドが、その広告をFacebookなどの年配のユーザーが多いプラットフォームで配信してしまう。この場合、ターゲットとなるべき若年層に広告が届かず、クリック率やサイトへのアクセス数が伸び悩む。

(2)高級車の広告を学生や初心者ドライバーに向けて配信する場合

高級車ブランドが、購買力の限られている学生や初心者ドライバーを主なターゲットとした広告キャンペーンを実施する。これらのグループは高級車を購入する意向や能力が低いため、広告の効果は限定的になり、投資の回収が難しくなる。

② ターゲティングがズレていない例

(1)フィットネスアプリの広告を健康や運動に関心が高いユーザーに配信する場合

フィットネスアプリのマーケティングチームが、運動や健康維持に関心が高いユーザーをターゲットにして、SNSや健康関連のウェブサイト上で広告を配信する。ターゲット層が自社の製品に興味を持っているため、クリック率やアプリダウンロード数が増加する。

(2)年配の人々向けの健康食品の広告をシニア向けのメディアで配信する場合

健康食品のブランドが、年配の人々を主なターゲットと定め、シニア向けの雑誌やウェブサイトに広告を出稿する。このターゲット層は健康維持に関心が高く、関連する製品に対して積極的に反応するため、広告の効果が高まる。

これらの例からわかるように、ターゲティングの成功は、製品やサービスを必要とする、または興味を持つ可能性のある正確なユーザー層に広告を届けることにより実現します。適切なターゲット層に対して効果的に広告を配信することで、クリック率やサイトへの訪問者数を増やすことが可能になります。

2. ターゲットユーザーが狭すぎる


オンライン広告を出稿するときの重要な注意点は無駄な広告を出して広告予算を浪費しないことです。そのため広告を表示するターゲットユーザーを絞り込むことが常識になっています。しかし広告キャンペーンのターゲットユーザーがあまりにも特定の小さい範囲に絞られていると、広告のリーチ(到達範囲)が小さくなり、結果的にサイトへのアクセス数も少なくなります。

現在設定されているターゲットユーザーが適切かを見直して、少しでも広げる余地があることがわかったらターゲットを適切に広げ、商品・サービスに関心を持つ可能性のある人々に広告を表示しましょう。

① ターゲットユーザーが狭すぎる例

(1)地域限定の小さなニッチ市場にのみ広告を配信するケース

例えば、特定の人口が少ない都市の住民のみを対象にした商品やサービスの広告を行う場合、このような狭い地域に限定してしまうと、広告のリーチが非常に限られ潜在的に興味を持つことが可能なより広い範囲のターゲットに到達できないという結果になる。

(2)特定の趣味や関心事を持つ人々のみをターゲットにするケース

趣味が非常に特化している商品やサービスの広告を、その趣味に関心がある非常に限られた人々にのみ配信する。たとえば、特定の稀少な鳥を観察するための高額な双眼鏡の広告を、鳥類学者や特定の鳥類愛好家にのみ配信すること。これでは広告のリーチが狭まり、関連する他の趣味や興味を持つ潜在顧客を見逃してしまう。

② ターゲットユーザーが狭すぎない例

(1)年代や性別など、より広範な特性を基にターゲットを設定するケース

例えば、女性向けのフィットネスアプリの広告を20代から50代の健康やフィットネスに関心のある女性全体に配信する。このように年代層を広げることで、より多くの潜在顧客にリーチし、サイトへのアクセス数を増やすことが可能になる。

(2)広範囲の関心事に基づいてターゲットを設定するケース

自然愛好家向けのキャンプ用品の広告を、アウトドア活動、ハイキング、釣りなど、関連する複数の趣味や活動に興味がある広い層の人々に向けて配信する。このアプローチにより、関連する異なる趣味の人々にもアピールすることができ、広告の効果を最大化する。

これらの例からわかるように、ターゲットユーザーを適切に広げることは、広告キャンペーンの成功において非常に重要です。ターゲット層を適度に広げることで、より多くの潜在的な顧客にリーチし、結果としてサイトへのアクセス数や興味・関心を高めることができます。

3. 広告予算が少ない


広告予算が不足していると、広告はより少ない数のユーザーにしか表示されません。これは広告のリーチを減少させ、サイトへのアクセス数を減らす結果を招きます。広告キャンペーンに適切な予算を割り当て、広告を見る可能性のあるユーザー数を増やすことで、サイトへのアクセス数も増加します。

① 広告予算が少ない例

(1)限定的なオンライン広告キャンペーンを実行するケース

スタートアップや小規模事業者が、限られた予算内でのみGoogle広告やFacebook広告を利用し、その結果、広告が一日に表示される回数が限られてしまう。このような場合、広告のリーチが狭まり、潜在的な顧客への露出が十分に得られず、サイトのアクセス増に繋がらない。

(2)特定の時間帯や地域に過度に絞り込んで広告を配信するケース

広告主が広告予算を節約しようとして、広告を特定の時間帯や特定の地域にのみ配信する戦略を取る。これにより、広告の見込み顧客へのリーチが限定され、サイトへのアクセス数の増加が見込めない場合がある。

② 広告予算が少なくない例

(1)広範囲のプラットフォームにわたって広告を実施するケース

中規模から大規模の企業が、Google広告、Facebook、Instagram、LINEなど、複数のオンライン広告プラットフォームにわたって広告キャンペーンを実施する。これにより、異なるターゲットオーディエンスにアプローチし、広告のリーチとサイトへのトラフィックの両方を増加させることができる。

(2)広告のA/Bテストを含む戦略的なキャンペーンを展開するケース

広告予算を活用して、異なる広告コピー、デザイン、ターゲティング戦略の効果をテストするためのA/Bテストを行う。これにより、最も効果的な広告手法を特定し、広告予算を最も効果的に使用することができ、結果としてより多くのユーザーをサイトに誘導することが可能になる。

これらの例からわかるように、広告予算が少ない場合、広告のリーチが狭まり、サイトへのアクセス数の増加を期待することが難しくなります。一方で、適切な予算配分と戦略的な広告キャンペーンを実施することで、広告のリーチを広げ、より多くの潜在顧客にアプローチし、サイトのアクセス数を増やすことができます。

4. 広告の配信タイミングが不適切


最大限の広告効果を得るためには、ターゲットユーザーが最も活発にインターネットを使用している時間帯に広告を配信することが重要です。ターゲットユーザーがネットを使っていない時間帯に広告が配信されてしまうと、広告は見落とされ、クリック数は減少します。

① 広告の配信タイミングが不適切な例

(1)オフシーズンに製品広告を配信する

水着やサンダルなどの夏季限定商品の広告を冬季に配信する。この場合、消費者の関心が低い時期に広告を出すため、クリック率や購買率が低下し、広告投資のROI(投資収益率)が悪化する。

(2)仕事や学校の時間帯にB2C(法人向けビジネス)広告を配信する

一般消費者をターゲットとする製品やサービスの広告を、平日の9時から17時の間に配信する。この時間帯は多くの人が仕事や学業に忙しく、オンラインショッピングをする余裕がないため、広告の効果が下がる。

② 広告の配信タイミングが適切な例

(1)特定イベントや祝日前に関連商品の広告を配信する

クリスマスやバレンタインデーなどの特定の祝日に向けて、関連するギフト商品の広告を数週間前から配信開始する。このようにイベントに合わせたタイミングで広告を配信することで、消費者の購買意欲が高まっている時期を狙い、高いクリック率と購買率を実現できる。

(2)ユーザーがアクティブな時間帯に広告を配信する

SNSや検索エンジンのデータ分析を用いて、ターゲットユーザーが最もアクティブにオンライン活動を行っている時間帯(例えば、夕方から夜間や週末)を特定し、その時間帯に広告を配信する。ユーザーのオンラインでの活動が活発な時に広告を見せることで、より多くのクリックとサイト訪問を促すことができる。

これらの例からわかるように、広告の配信タイミングはその効果に大きな影響を与えます。ターゲットにする客層がオンラインで最も活動的な時期や時間帯に合わせて広告を配信することで、広告の可視性を高め、クリック率や成約率を改善することが可能になります。

5. キャッチコピーがターゲットユーザーに訴求していない


広告のキャッチコピーがターゲットユーザーに対して興味を引くものでなければ、クリック数は減少します。キャッチコピーはターゲットユーザーが商品・サービスに興味を持つような内容であるべきで、ユーザーの問題を解決するといった価値提案を明確に表すことが必要です。

ターゲティングしてない広告コピーの例 ターゲティングした広告コピーの例
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6. 広告のキャッチコピー、デザイン、ビジュアルが不適切


広告のキャッチコピーが素人が書いたような稚拙なものではクリック率を高くすることはできません。商品・サービスのメリットを一方的に述べたものでなく、顧客が得られるベネフィットを訴求するキャッチコピーのほうがクリック率の向上が目指せます。
クリック率を高めるには競合の広告コピーを研究し、参考にしたり、違う業界の広告コピーを参考にするなどの継続的な努力が求められます。

商品のメリットを訴求しているだけの広告コピーの例 顧客が得られるベネフィットを訴求している広告コピーの例
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デザインについても同じことが言えます。広告のデザインやビジュアルが不適切で、目立たなかったり、プロフェッショナルでなかったりすると、ユーザーはそれを無視しやすくなります。人間は視覚的な情報に強く反応するからです。広告はクリックしたいと思わせる魅力的なビジュアルとデザインを持つべきです。慌てて広告を出稿するのではなく、一定の時間とリソースを使って社内でデザインをするか、クラウドソーシングサービスを利用するなどして外部の優秀なデザイナーに外注をしましょう。

《ディスプレイ広告、リスティング広告の例》

7. 広告メッセージが一貫性を欠いている


広告メッセージはブランドの他のマーケティング活動と一貫性を持つべきです。広告がブランドのメッセージやトーンと一致していないと、ユーザーは混乱し、信用性を疑う恐れがあります。

① 広告メッセージが一貫性を欠いている例

(1)ブランドイメージと異なるトーンでの広告配信

もしブランドが普段からシックで高級感あるイメージを打ち出しているのに、突然、カジュアルで俗っぽい言葉遣いの広告キャンペーンを実施した場合、既存の顧客や潜在的な顧客は混乱し、ブランドの信用性を疑うリスクが生じます。

(2)製品の価値提案が一貫していない広告キャンペーン

ある製品について、一つの広告では環境にやさしい素材を使用していることを強調し、別の広告では同じ製品を最低価格で提供していることを強調する。このように、異なる広告でメッセージが一貫していないと、消費者は製品の真の価値を理解できず、混乱する可能性があります。

② 広告メッセージが一貫している例

(1)ブランドアイデンティティに沿った広告メッセージ

環境に配慮した製品を販売しているブランドが、全ての広告キャンペーンで持続可能性と環境保護のメッセージを一貫して強調する。これにより、ブランドの持続可能性へのコミットメントが強化され、顧客の信頼を深める。

(2)一貫したビジュアルと言語での広告展開

ブランドが特定のカラースキーム、フォント、スローガンを使用してブランド認識を築いている場合、その要素を全ての広告キャンペーンにわたって一貫して使用する。例えば、ロゴやスローガンを広告の全てに組み込むことで、どの広告も明確にそのブランドから来ていると識別できる。

これらの例から、広告メッセージの一貫性がブランドの信頼性と認識にどのように影響を与えるかがわかります。一貫性のある広告メッセージは、消費者にブランドの価値とアイデンティティを強く印象づけ、信頼と忠誠心を構築するのに役立ちます。逆に、メッセージが一貫していないと、ブランドイメージが損なわれ、顧客の混乱や信頼の喪失につながる可能性があります。

以上が、広告を出しても自社サイトへのアクセスが増えない理由とその解決策についてです。こうした理由を1つ1つ潰していき、辛抱強く解決することにより広告を出すことにより自社サイトへのアクセスが着実に伸びるようになるはずです。

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